第171話

アルファのセバスチャンは彼女のあとを追って駆けだした。速すぎて、足元など見ていられない。太ももがテーブルの角に激しくぶつかり、開けっぱなしの水筒が倒れた。水がつうっと側面を伝い、革靴を容赦なく濡らす。

物音に、何人かが振り返った。

アルファのセバスチャンは歯を食いしばった。痛みと同じくらい、屈辱が胸を刺す。

「アルファ、大丈夫ですか?」

「平気だ」

彼はジョーダンに椅子の始末を任せ、そのまま進んだ。入口に着くころには、黒いマイバッハがすでに駐車場を出ていくところだった。

「エイラ!」

返ってきたのは、冷たい風と、すれ違う車のヘッドライトだけ。

ジョーダンが外へ出てくると、アルファ...

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